工事現場から御岳軽石層ー10万年の地史を大観する
4日(金)駒ヶ根市博物館専門研究員の下平眞樹さんが一万円道路の建設現場を調査されました(右上写真)。一万円道路には工事によって削り取られた路肩にみごとな地層が現れています(左上写真)。本日重機で溝を掘削したところ、その下から白土(はくど、伊那カオリン)が姿を現しました。これは10万年前に降り注いだ御岳軽石(テフラ)層(Pm-Ⅰ)です。地下水によって粘土化して不透水層を形成しています(左下写真)。その白い地層の上に薄くレキ層が積もっています。下平さんによるとこれは、西山から運ばれた扇状地の一部。その上には褐色の地層が厚く積もっています。これは「風塵」といって大気中の土が長い年月降り積もってできたもの。さらにその上に赤褐色の地層があります(右下写真)。およそ6万7千~6万5千年前に積もった御岳・三岳軽石層(Pm-Ⅳ)。したがって「風塵」はおよそ3万5千年かけて積もったことになります。御岳・三岳軽石層の上にはレキ層、さらにその上に耕土が乗っています。この工事現場の路肩には伊那谷を形成した10万年の地史が凝縮しています。すぐにブロックに覆われてしまいますので、今しか観られない貴重な姿です。専門家に教えていただき、理解が深まりました。
2025年7月4日 2:48 PM | 薫ヶ丘だより